実は、ちょっと不安な日々でした。

最終更新: 2019年1月5日


それは先月、8月はじめの頃。

ちょうど新作として発売したての『KIZUNA』が、

ありがたいことにジワジワと人気が出はじめてきたあたり。

私は毎月、持病の治療や経過観察のための通院は

ちょこちょこしているが、その他の身体メンテナンスについては、

このところの忙しさを理由に、若干後回しになっていた。

比較的、身体の調子も良かったので。

それが何故だか突然、「そうだ、検診に行こう。」と思いたつ。

そういえば、左胸の上あたりになんとなく、なんとなくなんだけど

塊があるような、ないような? まあ、女性特有の周期的なもので、張ってるだけかな? 

…という軽~い自覚症状がありつつ、1年ぶりの乳ガン検診。

毎年検診のたびに通う、乳腺専門の小さなクリニック。 物静か~な感じだけど、こちらの質問にも細かく丁寧に

説明してくださる初老のドクター。 まず触診で、「あれ?なんかあるねぇ、前なかったよねぇ。

ちょっとマンモグラフィと超音波でしっかり診ましょうね。」 ということで、最初は市民検診のつもりで行ったが、

保険での診療に変更。

“あ、やっぱり何かあるんだ”という感想と

“え、なに、悪いやつ?!”という誰もがよぎるであろう感情が

入り混じりながらマンモグラフィと超音波検査を受ける。

マンモグラフィは、世間で恐れられているほど、痛くはない。

(ので、女性のみなさん、気軽に受けてみてほしい。

生理終了4、5日後後くらいの胸の張りがおさまった頃がオススメ)

超音波検査では、ドクターがその塊を見ながら

「見た感じ、悪性のものとは違うようだけど…念のため細胞診しましょう。」

というと、すぐにナースが細い注射針を用意する。 「塊の部分に針を刺し細胞を吸い取って検査に出します。」という説明を聞き、

“わ、おっぱいに針刺すとか心の準備ないんだけどっ”と心の中で思うも、

この塊の正体を知りたいという気持ちが強かったのでおとなしく受ける。

チクッとはするが、そんなに痛い検査ではなかった。

この検査の結果が分かるのが、通常7日後のところ、

ちょうどお盆休みの時期だったため、10日後に来て下さい、とのこと。

ここからの10日間は、本当に苦痛な日々だった。

「乳ガンだったらどうしよう。」

そのことばかり考えては、ネットでいろいろな情報、自分と似た症状を

見つけては、良性という文字に安堵したり、“でも”、“もしも”、と

頭の中で見えない相手と戦わなければならない時間。

もうサクッと「ガンです」と分かった方が、戦う作戦を考えることが

できるから、どんなに心が楽になることか。

万が一の事態を考え、身近な家族には当然報告。

そして自分が話すことで、心から安心できる友人だけに、

このことを打ち明け、『私に何かあったら、チェレステとコバルトと、

ついでにパパを頼みますね』などとお願いをする。

そんな不安に押しつぶされそうな日々、Cele*Cobaショップは

たくさんのKIZUNAのオーダーや、毎月のイベント出店などが重なり、

悪いことを考えて涙を流すこともなく、忙しく働くことができたのが

むしろ私にはありがたかった。

ドクターの「悪いのではなさそうだ」という魔法の言葉のおかげか、

妹の「きっと大丈夫!」という力強い励ましのおかげか、

自分も、まあ大丈夫なんだろうな、という気持ちで案外落ち込むことは

なかったハズ、なんだけれど、女性の身体とは不思議なもので、

これまで順調に来ていた生理が大幅に遅れ出す。

-細胞診結果-


そしていよいよ細胞診の検査結果がわかる日。 物静かなドクターからは、「ガンではないようだ。」と告げられる。

ひとまず安堵。「ただ…ガンではないけどこの塊がどんな特性のものなのか、

悪いものじゃないと確定するための検査をお薦めしたい。」

実はこの10日間、いろいろ調べたり、数年前から別の胸の病気を患う妹が得た

知識からアドバイスを受けたりして、細胞診だけではきちんとした判断が

できない場合や、良性と言われても実は悪性だったことを見逃す

ケースもある、ということを知ったので、私も「ぜひ、針生検をしてください。」

と、迷うことなくお願いした。

最初に受けた細胞診は、しこりの部分に細い針を刺し、吸い出した

細胞を検査するもので、ここで本当に悪い部分を取り損ねてしまった場合、

悪性なのに良性と判断されてしまうこともあるらしい。

今回お願いした検査は、針生検(組織診)の吸引式乳房組織生検という方法。 細胞診に比べて、もっと太い針で組織を取り出して詳しく検査をするもの。 想像しただけで痛そうなのだけど、“痛そうだから”という理由だけで

この検査を受けない、という考えは全くなかった。

検査はクリニックではできないとのことで、提携する大きな病院で受診することに。

紹介状を書いてもらい、この日からまた2週間後の予約となった。

-針生検のための受診-


時はすでに9月3日。ふらりと行った乳ガン検診から1カ月が経っていた。 この日を待つ間、有名な漫画家が乳ガンで亡くなるというニュースに、

一瞬動揺しつつも、また淡々といつもの毎日を過ごしていた。

初めて受診する、かなり大きな病院。最近、リニューアルしたこともあり、

院内はちょっとしたホテルのような雰囲気。 幼少の頃から、たくさんの病院に行き慣れている私でも、紹介状を手に

キョロキョロ窓口を探していると、朝から多くの患者で溢れ出すホールで

一瞬のみこまれそうな感覚に襲われる。

丁寧な案内係に促され、無事に初診受付を済ませ予約時間通りに

診察室前で呼ばれるのを待つ。待つ…待つ…。

ふと窓の外をながめると、よく遊びに出かけるショッピングモールが見える。 あのテラスの通りを、チェレステとコバルトと歩いたなー。

あのとき屋台で売ってたお肉の串焼きをパパが買って食べているのを、

チェレステがまん丸の瞳で見ていたっけ…。



そんなことを考えていたら、これまで平静だった心に負の感情が急に現れる。

“チェレステ…コバルト…。 もしも悪い病気だったら、あなた達を誰が守ればいいの…? そりゃあ、パパもいるけど、そうだけど…。”

一瞬、待合室で泣きそうになったとき、聞き慣れない男性の声で名前を呼ばれる。

そのドクターは私の目をしっかり見てあいさつをすると、とても穏やかに、

かつテキパキと、これまでの病歴や受診の経緯を私から聞き出す。 針生検をしたいと希望すると「よく勉強されてきましたね、でもちょっと高いよ?」と

ユーモアたっぷりに、また柔らかく微笑んだ。

前のクリニックで預かってきた超音波の画像を見ながら、

いろいろな可能性の話を聞き、針生検の説明、当日はできないので

最短の予約を取ることなどを告げられる。

一通りの説明と、予約日が決まると「他に心配なことは?」と、

また穏やかな笑顔で聞いてくれる。

このドクターなら安心だ、と思った瞬間だった。

-針生検当日-


初診から3日後に予約した針生検は、太い針を刺すため局部麻酔を

使用することや、30分程度で終わるが傷跡からしばらく出血するため、

一人で運転して帰るのが不安だったので、夫が付いて来てくれた。 局部麻酔なので、食事制限などもなく病院へ行く。


検査そのものに、ほとんど恐怖心はなかった。 痛いと言っても、麻酔の注射がチクッとするだけで、あとは組織を取るときに

少々引っ張られる感じだったり、機械音が不快という程度。

取れた組織を見せて貰ったが、薄いピンク色で見た目悪いヤツではなさそうな。

待合室で30分ほど止血して、帰宅する。

さあ。痛い検査なんかより恐怖の、検査結果待ちの2週間がやってくる。

-針生検結果-


ほぼほぼ、大丈夫だろう、自分で調べた感じでも線維腺腫とかその辺だろうな。

熱心に調べてくれる妹もそう言ってくれるので、

また心を穏やかに過ごすことができた。

この2週間のあいだも、ショップのオーダーが続き、イベント出店も2回あったりと

多忙な日々を過ごしたが、不安ながらも、笑顔でいることができたのは、

家族の支えだったり、不安な気持ちをいつも優しく聞いてくれ、

時に笑わせてくれる友人のおかげだった。

そして私にこの仕事がなかったら、ネガティブな方ばかりに心が向いてしまっただろう。

なにより、感情をうまく保つことができたのは、

チェレステとコバルトがいてくれたからだ。

感受性がものすごく優れているチェレステは、私のほんの小さなため息から

何かを感じ取っては、テケテケと近くに歩いてきて首を傾け耳をめいっぱい立て、

私からの見えないサインを受け取ると、ただただ側で、そっと丸くなっている。

真逆の性格をもつコバルトは、いつも茶目っ気たっぷりの瞳で、

私の心などそっちのけで遊ぼ!遊ぼ!と、傍らで引きちぎれんばかりに

しっぽを振ってくる。そんな可愛いKYっぷりに何度笑顔にさせられただろう。


そして先日、9月20日。

これから戦う相手の名は「葉状腫瘍」とわかった。

この病気は乳腺にできる腫瘍の一種で、良性・境界型・悪性と分かれるそうだが、

幸い私のは良性と診断された。

今すぐにどうにかなる、という事態ではないが、放置しておくと腫瘍が大きく

なってしまうということで、腫瘍部分の切除手術の必要がある。 切除しても、また再発をする可能性があり、出ては切除…を繰り返すうちに

悪性に変わる可能性もある、若干やっかいな相手でもある。

再発を防ぐためのベストな方法は、最初の切除手術で腫瘍のまわりも含め、

多めに切り取るということ。 今のところ、まだ小さめの腫瘍なのだが、急速に大きくなる特徴もあるため

早めに切除手術をうけることを決めた。



ここからの日程はまだ決定していないが、とりあえず悪いものでは

なかったということと、今後付き合っていくだろう相手が一つだけ

増えたという事実を受け止め、またいつもの日常を過ごせることに感謝したい。



人は守りたいものが増えるたび強くなるが、弱くもなる。

キミたちと一緒に生きたいから、頑張ろうと思う。 キミたちと別れてしまうことになるのではないかと不安に襲われ、気持ちが弱くなる。

どちらの感情も、今、一緒に生きているという証だ。


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